
こんにちは、窓デパ.comの店主の平川です!
本日は強化ガラスをご紹介します。強化ガラスは割れにくいですが、割れたときも安心です。その理由を説明していきます!
強化ガラスはなぜ強いのか
ガラスの表面に引張り力が働かないようにすることがガラスを破壊に至らしめない方法ですが、一般的に建材として使われる環境では応力を制御することは難しい。
そこで、ガラス表面にあらかじめ圧縮力を蓄えておこう、というのが強化ガラスの原理・考え方です。
強化ガラスはフロート板ガラスを軟化点近くの約650℃まで熱した後、両面に常温の空気を均一に吹き付け急冷して製造します。
これにより表面付近が内部より先に固化し、ここに圧縮応力層が形成されます。
この圧縮応力層は両表面から板厚の1/6程度とされていて、これより内部には表面の圧縮応力に釣り合う引張り応力層が形成されます。
この圧縮応力層は衝撃や風圧でガラスがたわんだ際の引張り力に対する文字通り「貯蓄」で、これによりガラスの強度は3~5倍向上します。
強化ガラスの割れ方
強度が増すことは好ましいことですが、どのような場合でも強化すればよいとはいえません。
強化ガラスといえども破壊力が限界を超えれば割れるため、使われる環境から人体に対する安全性を第一に考えます。
強化ガラスの破壊の特徴は、部分的な欠損やひび割れというものがなく、先に述べた応力のバランスが崩れた時
(具体的には圧縮応力層を超える傷が発生した場合が多い)その一枚のガラス全体が細かい粒状に砕けます。
強化ガラスの割れ方はJISで決められていて、簡単に言えばガラス一枚の中の任意の5㎝角相当部分が40個以上の破片になることが必要とされます(5ミリ厚以上の場合)。つ
まり人体にとって危険な、大きな破片にならないことが求められているわけです。
一個の破片の質量が小さいことと、厚み方向にも比較的鋭利ではない破片ゆえに、
「ガラスを用いた開口部の安全設計指針」で「割れても安全なガラス」として出入口のドアやドア周辺のガラスに推奨されています。
強化ガラスの破壊形状
強化ガラスを合わせガラスにしたものの破壊写真です。
全体の破壊形状がわかります。放射状の割れの中心が打撃点です。
強化処理された板ガラスはたわみも少ない(剛性が増す)と思われがちですが、同荷重の場合のたわみ量は強化前のガラスと同じです。
一方、平坦さが若干ですが影響を受けます。これは視覚的な反射像などに現れ、建築の外装など大きな面積に景色が映る場合にゆがみとして気づくことがあります。
また偏光サングラスで強化ガラスを見ると、光の反射具合や角度、背面の色などの条件によってモアレのようなまだら模様が見えることがあります。
強化処理による内部応力の存在が見えてくるのです。(偏光サングラスによる見え方は簡易的な確認であり、専門的には2枚の偏光板を使います)
また強化という文字から表面が硬くなる印象を受けますが、表面硬度は非強化ガラスに比べむしろやや低下します。このためフロート板ガラスと同様な扱いでも傷がつく場合があり、クリーニング時などに注意を要します